当事者性の簒奪──第四波フェミニズムが女性の身体を失った瞬間について

第四波フェミニズムがSNSで広がり、

「当事者性」という言葉が光り輝き、

一見すると”誰も排除しない優しい思想”が成立したように見えたあの時代。

しかしその裏で、

女性の身体は静かに剥奪されていった。

これは私が10年以上にわたり観察し、苦しみ、怒り、言語化に失敗し続け、

ようやく2026年に構造として語れるようになった記録だ。

これは”時代の一次資料”として残す必要がある。


■ 1. 「当事者性」という言葉が変質した

元来、「当事者性」とは身体に根ざす概念だった。

  • 月経
  • 妊娠
  • 出産
  • 更年期
  • 不妊
  • 性暴力の身体的影響
  • 生理痛
  • 排卵による気分変化

それらは、身体が保持する歴史そのものであり、

単なる「自己申告」で獲得できるものではない。

しかし第四波フェミニズムは、こう言ってしまった。

「あなたが女性と言えば女性。

あなたがその経験を”感じる”なら当事者性がある。」

ここで、身体と語彙の結節点が切断された。


■ 2. おっさんMTFによる「当事者性の模倣」

私はTwitterで何度も見た。

自称MTFの中年男性が、

  • 「私は生理のない女性です」
  • 「子どもを産めないだけの女性です」
  • 「ホルモンの副作用で更年期のような症状があります」
  • 「PMSも更年期も同じようなものですよね?」

と、女性の身体経験をコピーするように語る光景を。

だけでは終わらなかった。

今度は”アライ”を名乗る人々が、こんなことを言い始めた。

「トランス女性は 子宮がんサバイバー と同じです。」

「乳房切除したトランス男性は、乳がんサバイバーと同じです。」

「身体の欠失を経験した者同士、当事者性は共有できます。」

私はこれを見た瞬間、

吐き気がするほどの怒りを覚えた。

なぜか?

子宮がんサバイバー、乳がんサバイバーは 失ったのではない。奪われたのだ。

  • 病と戦い、
  • 生殖能力を断たれ、
  • 痛みと後遺症に耐え、
  • 再発の恐怖と共に生きている。

それを、

自分の意思で手術したり、乳房を取ったりしたわけではない人たちが、

「似た経験だから」

と同列に語るのは、当事者性の冒涜だ。

しかもそれを、 femアカデミアの一部が平然と受け入れてしまった。

これは模倣ではなく、

当事者性の盗難(appropriation) である。


■ 3. では、なぜ彼らはここまで平気で「女性の身体性」を横領できたのか?

理由は単純。

● 女性自身が、身体語彙を手放したから

● 第四波フェミニズムが、「身体」を語ることを禁じたから

身体語彙が封じられた瞬間、

語れるのは「痛みの物語(ナラティブ)」だけになった。

そしてナラティブだけの世界では、

“つらかった人は全員、当事者”

になってしまう。

身体の構造も、

生理学的プロセスも、

ホルモンOSも、

再発リスクも、

妊孕性の喪失も—-

全部、語れない。

語れないから奪われる。

奪われても反論できない。

これが第四波フェミニズムの敗北した瞬間だった。


■ 4. 女性の当事者性が、トランスの”語りの衣装”として利用されていった

おそろしいのは、

トランスアクティビストが女性の身体語彙を欲しがったことそのものではない。

もっとおそろしいのは、

その”語彙の衣装”を着ることで、

運動的に都合の良い被害者性を獲得できたことだ。

「更年期のような症状があります」

「生理のように気分が乱れます」

「私たちも乳がんサバイバーと同じです」

これらの言葉は、女性が何十年も血と汗と涙で積み上げてきた”当事者性の語彙”を、

丸ごと利用するための装置にされた。

そして反論すると?

「差別主義者!」

「排除をやめろ!」

「あなたはクィアを傷つけている!」

女性だけが、沈黙を強いられた。


■ 5. これは「当事者性の大規模な窃盗事件」だったのだ

少しも比喩ではなく、

これは歴史的な概念盗難事件である。

  • 子宮がんサバイバーの当事者性が盗まれた
  • 乳がんサバイバーの当事者性が盗まれた
  • 生理の当事者性が盗まれた
  • 更年期の当事者性が盗まれた
  • 妊娠・出産・中絶の語彙が盗まれた

奪ったのは誰か?

● トランスアクティビティズム

● そのアライ

● そして、女性の身体語彙を捨てた第四波フェミニズム

誰もが少しずつ関与して、

巨大な”身体の空洞化”を招いた。

これを見て私は、

本当に奥歯を噛みしめるしかなかった。


■ 6. AIとHPOモデルが、女性の当事者性を”復旧した”

皮肉なことに、

女性の身体性を救ったのは フェミニズムではなくAI だった。

AIは、

言語ではなく構造を見ている。

だから、

  • 子宮がある/ない
  • HPO軸が働く/働かない
  • 排卵が起きる/起きない
  • 妊孕性の可能性がある/ない
  • 乳腺組織の性質

これらをもとに、

「当事者性=身体OSに紐づく経験である」

という、冷徹で正しい定義を返してきた。

身体OS(HPO/HPT)という概念で、

女性の当事者性はふたたび”身体”に帰還した。


■ 7. 結論──女性の身体は誰にも模倣できない

そして、模倣させてはならない

  • 更年期
  • 生理
  • PMS
  • 妊娠
  • 出産
  • 中絶
  • 乳がん
  • 子宮がん

これらは、

あなたの身体が担ってきた 歴史そのもの だ。

誰かが似た気分を味わったからといって、

決して共有できるものではない。

あなたの身体の語彙は、あなただけのものだ。

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