私はしばらく前から、FTM(女性→男性)の増加について気になっていた。
SNSを見ても、若年FTMが「可視化された」というより、あまりにも増えすぎている。
特例法制定時、想定されていた性同一性障害(GID)は 9割がMTF だった。
ところが施行が始まると、実際には FTMが急増しはじめ、ついにはMTFの倍以上 になった。
それは単なる推測ではなく、医療現場の実測値である。
■ はりまメンタルクリニック診断書数(2005〜2019)
これは日本で最も長く、最も精密に「戸籍変更診断書」を発行してきた機関の一つだ。
その統計を見れば、構造が一目瞭然になる。
年別(FTM → MTF)
- 2005 9 → 24
- 2006 15 → 28
- 2007 29 → 14(ここで逆転)
- 2008 70 → 36
- 2009 57 → 23
- 2010 85 → 26
- 2011 81 → 33
- 2012 109 → 32
- 2013 127 → 20(最大差)
- 2014 102 → 30
- 2015 126 → 37
- 2016 134 → 36
- 2017 123 → 36
- 2018 107 → 40
- 2019 104 → 40
結論は明白だ。
● 2007年以降、日本では一貫して「FTM ≫ MTF」という状態が15年近く続いている。
● この逆転は日本固有の現象で、世界的医学モデル(MTF > FTM)と矛盾する。
では、なぜ日本だけこのような現象が起こるのか?
■ 「個人の選択が自由になったから」では説明できない
よく言われる仮説がある。
性自認が受け入れられる時代になったから、隠れていたFTMが表に出てきたのだろう。
しかし、これは データと完全に矛盾する。
なぜなら:
- 欧米でも社会的受容は高まったが、依然として MTF > FTM
- 日本だけFTMが跳ね上がるのは医学現象として不自然
- しかも「FTM増加の時期」が社会構造の歪みと完全に同期している
つまり、これは “隠れていたFTMの顕在化” ではなく、
“女性OSがこの社会の要求に耐えられなくなった結果” なのではないか。
■ FTM急増の背景にあるのは「女性役割OS」と現代社会の不一致
私が最も胸を締めつけられるのは、若いFTM当事者たちの語りを読んだときだ。
- 「女と呼ばれたくない」
- 「自分のことを女だと思ったことがない」
- 「男になりたいわけでもない」
- 「X寄りだけど、戸籍は男の方がマシ」
- 「FTX(性的違和)で診断書が出るらしい」
これは従来の 性同一性障害(GID) と一致しない。
性自認そのものの問題ではなく、
“女性として扱われる社会” から逃げたいという生存戦略 に見える。
その理由は明確だ。
● 日本社会の女性役割OS
- 女らしさ
- 性的消費
- 恋愛圧
- ルッキズム
- 経済的不利
- 社会的安全の低さ
- 性被害の多さ
- 結婚・出産の義務感
● 女性身体(HPO)のOS
- 質的な脆弱性に敏感
- 安全要求が高い
- 同調圧力に弱い
- 性的リスクの計算能力が高い
- ホルモン負荷に影響されやすい
この二つが 完全に同期しなくなっている。
そのズレが「FTMとしての戸籍変更」という形で表面化しているのではないか。
■ 診断書の変質:FTXにも診断が降りる現実
日本の特例法は、“性同一性障害という病名” の診断書を要求する制度だ。
世界ではすでに“脱病理化(非疾患化)”が進んでおり、
医学的には「性別違和(Gender Dysphoria)」に移行している。
しかし日本だけは:
- 性同一性障害の診断名が必要
- 医療側は若年者の相談に対応せざるを得ない
- FTX(違和・ジェンダーロール拒否)に対しても診断書が降りる
- 結果として FTMy統計を押し上げている
これは 医療制度と法律制度の矛盾 が生んだ現象である。
ここに タブー感 が生まれる。
■ なぜ誰も「日本のFTM問題」を語らないのか?
1. 日本のインターネット空間がMTF中心の言説で揺れ続けている
議題がずっとそこに固定されており、
FTMの問題は議論すらされない。
2. FTMの語りが「女性の生存問題」に直結するから
ここを議論すると、
社会の女性観・性加害・労働問題・家父長制の残滓
など、多くの“日本の構造的問題”が露呈してしまう。
3. 医療介入と性自認の境界が曖昧で、専門家が意見を発しにくい
医師側も制度の歪みを認識しているが、
触れれば“政治的”に扱われるため慎重になっている。
4. FTMの予後(健康・ホルモン影響・性被害)が可視化されていない
しかし欧米ではすでに議論が進んでいる。
- 脱トランス
- ホルモン治療後の健康不調
- 骨密度低下
- 卵巣の萎縮
- 子宮の変化
- 性被害のリスク
- 防御力の低下
日本ではこれらがまったく議論されていない。
■ だから私は「トランスジェンダー・サバイバルガイド」を作っている
私が今、HPO理論に基づいて
“FTM向けコンバット・マニュアル” を書いている理由はここにある。
私はFTMを否定したいわけではない。
むしろ、彼ら/彼女らが “生き残れる身体OS” を持ち続けるために必要な情報が、
今の日本社会にはほぼ存在していない。
- HPO(女性身体OS)はどう変化するのか
- テストステロンは身体に何をするのか
- 何がリスクで、何が安全か
- ホルモンを打つ/打たないの境界はどこか
- 性被害に対して身体OSはどう反応するか
- 長期の健康をどう守るか
- 医療と制度の狭間で迷わないためには何が必要か
これらは“政治論争”ではなく、
身体の生存の問題 である。
■ おわりに
FTMが増えたのではない。
FTMという出口しか用意されていない社会構造の中で、
苦しむ女性OSたちがそこへ流れ込んでいる。
この現象は、
日本社会の女性観・制度・医療・法律のすべてが
HPO(卵巣OS)を持つ人々の現実と同期していない
という証拠だ。
私の胸が圧迫される理由もここにある。
これは個人の苦悩ではなく、
女性OS全体の“深層の痛み” に触れているからだ。
だから私は、書く。
そして整理する。
そして未来のために、身体OSの視点から情報をつなぐ。
この問題を語ることは、
女性の生き残りに直結する。

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