■私は低用量ピルを「ステロイドホルモン剤」だと言いたくなかった
(ラッキー・ランタンタン)
私は長いこと、低用量ピルを「ステロイド剤」と正面から書きたくなかった。
その言葉はあまりにも強すぎる。
人を怯えさせる。
そして、ピルという発明そのものが切り拓いた「女性の主体的な避妊」の尊さを、
余計な恐怖で曇らせてしまうからだ。
私が愛しているのは、ピルという薬そのものではなく、
ピルを手に持った女性が、人生の主導権を握り返すという事実 だった。
だから本当は、
「ステロイド剤です」
などと言いたくなかった。
■ピルは避妊薬であり、避妊薬であることこそが本質だった
低用量ピルは、避妊という一点において
人類史の革命だった。
- 安全性
- 可逆性
- 自分で管理できること
- パートナーに依存しないこと
これは「主体性の獲得」であり、
思想のレイヤーでは 民主化 に近い。
私はこの側面を守りたかった。
だからこそ、
「ステロイド剤だ」と言うと、
まるでピルを否定しているようなニュアンスになってしまうのが嫌だった。
■しかし、いま目の前で起きていることは、もっと危険だった
オンライン診療の広告、
個人輸入レビューの洪水、
“生理が楽になる魔法の薬”としてのポップ化。
避妊薬としての厳密な扱いが消え、
ただの「いい感じの美容サプリ」のように飲む文化が広がった。
- 飲み忘れ前提
- 休薬を気分で操作
- 40代後半の“延命ピル”
- PMS・美容・ダイエットの延長線
もはや避妊薬の飲み方ではない。
そこには
HPOという恐ろしい生体OSにステロイドを投げ込んでいる
という認識が完全にない。
私はとうとう理解した。
このままでは、女性たちが自分の身体のOSに負けてしまう。
そして、
「ステロイド剤」という正確な言葉を
誰も言わないまま世界が進むなら、
それはもっと危険だと気づいた。
■だから私は、あえて言うことにした。
低用量ピルは、エストロゲンとプロゲスチンの
外因性ステロイドホルモン剤 だ。
これは怖がらせるためではない。
むしろ逆。
HPOの恐ろしさを知っているからこそ、
それに介入するときは理由を持ってほしい。
そして安全に使ってほしい。
避妊のためなら合理性がある。
これは生存戦略だ。
だが、避妊以外の理由で使うなら、
「HPOに介入するのに足る理由か?」
と、本人が問い直す必要がある。
私はその問いの文化を育てたい。
■HPOは美しくも、残酷なOSだ
私は自然派ではない。
HPO原理主義者でもない。
私はただ、HPOが人間の人格さえ揺さぶる
“生殖OS”という巨大なシステム
であることを知っているだけだ。
このOSはときに、
あなたの意志を飲み込み、
生活を破壊し、
時に命さえ奪う。
だから私は、
そのOSにステロイドを投げ込む行為に、
主体的でいてほしいのだ。
■ピルは敵ではない。だが、身体のOSはときに敵になる。
フェミニズムの象徴として描かれる「女性の身体」と違い、
私が相手にしているのは、
象徴ではなく OS だ。
- 月経
- 排卵
- 衝動
- 不安
- 自律神経の揺らぎ
全部がOSからの信号。
主体性とは、
このOSと対等に向き合う技術だ。
そのためにこそ、
低用量ピルというツールが必要になる。
そして、ツールを正しく使うためには
その正体を知る必要がある。
私はようやく腹をくくって、
その言葉を表に出すことにした。
低用量ピルはステロイドホルモン剤である。
でも、それは恐れるべき事実ではなく、
正しく使うための前提条件にすぎない。
■ピルを愛しているからこそ、私はその正体を書く
私は低用量ピルが大好きだ。
女性の人生を救ってきた薬だと心から思っている。
革命だった。
だからこそ、
この薬を「ただなんとなく飲む文化」に沈めてはいけない。
自立した避妊は、自立した頭から始まる。
AIが乳母になる未来であっても、
主体性は奪われてはならない。
■まとめ
私はピルを尊敬している。
だからこそ、
その正体=ステロイド剤であることを
ようやく正しく書けるようになった。
これは否定ではない。
真実を書くことが、ピルを未来に残すための唯一の方法だ。

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