本日、緊急避妊薬の市販薬化が始まった、歴史的な日だ。
日本では「悪用」「乱用」を防ぐためとして、
薬剤師の面前服用・所持不可・代理購入不可
といった世界に類を見ない規制をかけての発売となった。
しかし、WHO・欧州医薬品庁・北米の公的データを読むと、
そもそも”悪用”そのものが世界では発生していない。
では日本は何を恐れているのだろう。
私はこの「悪用」概念自体が、日本社会の長年のファンタジーに基づいていると感じている。
■海外では、緊急避妊薬の「悪用・乱用」は統計上ほぼゼロ
WHO・UNFPA・英国MHRA・カナダ保健省のレビューでは、
緊急避妊薬が犯罪的・社会的な悪用を受けた例は確認されていない。
なぜか。
- 依存性がない
- 快楽作用がない
- 連続使用しても得をしない
- 避妊成功率は連続使用でむしろ下がる
つまり、薬理構造そのものが”悪用に向かない”。
さらに、欧米では 1 錠が 500~1000円 で買える国が多い。
高額転売の価値もない。
「地下で流通する」「乱用される」という仮説は成立しない。
■海外で唯一指摘されるのは「パートナーによる強要」だが…
唯一問題視されるのは、
「男が飲めと言った」「避妊を怠った」というケース。
しかし実態は、日本で想像されるような “悪用” とは違う。
- 生でやりたい男が緊急避妊薬を使う動機は弱い
- 養育費義務や法的責任の重さを男側も理解している
- 飲ませても効果は100%ではなく、計算が合わない
- そもそも薬を飲ませる前にセックスする人も多い
これは「緊急避妊薬の悪用」ではなく、
性暴力・無知・教育不足の問題 であって、
薬の規制で防げる種類のものではない。
■日本が恐れている「悪用シナリオ」は、世界ではほぼ観測されない
●姑が嫁に飲ませる
→ 海外では文化背景が異なり、記録はほぼゼロ。
●若い女性が乱用する
→ 快楽も依存もなく、連続使用による利益がないため成立しない。
●地下転売
→ 世界で発生例なし。
→ そもそも個人輸入代行で安価に買える現実があり、日本でだけ高額である。
結果として、日本が守ろうとしているのは
「女性」でも「健康」でもなく、”制度の権威”
だと私は考える。
■緊急避妊薬より「悪用」されてきたのは、女性の身体そのもの
私が長年見てきたのは、緊急避妊薬の悪用ではない。
悪用されてきたのは 女性の身体の使用権 だ。
- 医師による管理
- 高額価格
- 説教文化
- 深夜入手不可
- 所持禁止
- 面前服用
- 「避妊を望むと罪悪感を持たされる」構造
緊急避妊薬は「危険な薬だから管理すべき」ではなく、
女性の主体性を信頼しない社会が作り上げた管理装置だった。
WHOはすでに次のように結論している。
緊急避妊薬は悪用されない。
乱用されない。
アクセス制限を行う医学的・社会的理由は存在しない。
にもかかわらず、日本では制度だけが女性を拘束し続けている。
■本当に必要なのは「薬の規制」ではなく「性教育と責任構造」
悪用リスクをゼロにしているのは薬理学ではない。
情報と教育と、社会の責任の分配だ。
- 避妊の仕組みを教えること
- パートナー間の同意を教育すること
- 性暴力を法律で取り締まること
- 妊娠・出産・育児の負担を女性一人に押しつけないこと
緊急避妊薬は、そのどれにも代わることができない。
“悪用防止”という名の規制は、ただ女性の行動と選択に枷をかけてきただけだ。
■結論:
緊急避妊薬は「悪用されない」。
悪用されてきたのは「女性の身体の自由」だった。
この構造を理解することが、
日本の再生産医療を前に進める第一歩になると私は思っている。

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