私がこの日さまざまな検索窓口を試しながら気づいたのは、日本の NIPT と中絶の情報空間が 「制度」ではなく「検索文化と集患装置」で成り立ってしまっているという現実だった。
Google で「出生前診断 東京 ランキング」と入れると、当然のように
「おすすめ10選」「ランキング比較」「安いNIPTはここ」
といった、こたつ記事レベルの“商材化された入口”ばかりが並ぶ。
これは「奈良 占い 当たる」で検索するのと違う。
ここは本来、制度と安全性の情報が最優先されるべき領域であり、命に関わる領域だ。
にもかかわらず──
NIPTは「ランキングで選ぶ商品」に変換されてしまっている。
● クルミーの“タグ構造”で露わになる不可視化
私がさらに興味深く思ったのは、婦人科向け集患サイト「クルミー」の内部構造だった。
検索タグを見ても、
・ミレーナ
・アフターピル
・内診台カーテン
・未成年単独受診
・LGBTQ診察可能
といったタグは並んでいるのに、NIPT だけが存在しない。
NIPT に関する記事はクルミー自身が大量に書いているのに、
検索タグからは完全に外されている。
あまりにも露骨すぎて、「これはさすがに…」と笑った。
おそらく、NIPT をタグにすると
「自分のクリニックへの利益誘導」と読まれかねないため、
“中立性アピール”として外しているのだろう。
だが、ここに大きな問題がある。
NIPT を受ける人が本当に必要なのは
『どこで受けられるか』と『陽性時に中絶まで連携できるか』であって、
可愛いタグの一覧ではない。
● そして、中期中絶の検索結果は“東京でゼロ”
検索窓口で「中期中絶」に対応する施設を探そうとしても、
東京都で 0 件 と表示される。
もちろん、現実には東京に中期中絶を扱う医療機関は存在する。
だが、そこには 医療広告ガイドラインと制度の壁 があり、
集患サイト上で “扱えない”という構造がある。
結局、中絶は
- 医師の温情
- 医師個人の裁量
- 一部の高額なビジネスモデル
によってかろうじて維持されている。
日本は法治国家のはずなのに、
中絶だけは制度ではなく“個人の善意”に乗っている。
これが女性の生殖医療の現実だ。
● LGBTQ診察可能の“商業タグ化”の虚しさ
クルミーの「LGBTQ診察可能」タグも興味深い。
内容が曖昧すぎて、
「クロスホルモン対応? 書類作成? 婦人科検診のみ?」
など、具体的な対応が全く分からない。
占い屋の Google Map の「LGBTQ friendly」バッジとは違う。
医療は曖昧では済まされない領域だ。
だが、ここにも“商業タグ化”された象徴的な虚しさがある。
● まとめ:NIPTと中絶の情報空間は“制度”ではなく“マーケティング”に支配されている
この日、私は Google とクルミーの両方を眺めながら、
日本の出生前診断と中絶の情報空間が、
制度で支えられているのではなく、
集患装置・検索文化・医療広告で支えられている
という残酷な現実をあらためて見た。
妊娠という個人の深い領域が、
ランキング・おすすめ・こたつ記事の中に飲み込まれていく。
これを“時代の現象球体”として観察しておくことには意味がある。
ラッキー・ランタンタンとして、私はこれを記録して残す。

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