■ コロナ禍は、医療と美容と個人輸入ホルモンを「混ぜてしまう文化装置」になった
2020年以降の日本では、
医療と美容と個人体験が区別されない世界 が一気に定着した。
それを可能にしたのが、
- オンライン診療
- 美容医療のサブスク化
- SNSインフルエンサーによる身体体験の「商品化」
- 個人輸入代行の常態化
という構造だ。
これらが組み合わさると、
本来は 内分泌を操作する重い薬 が、
「なんか良いらしい」
「QOL上がるよ!」
「肌が綺麗になる♡」
「女の子っぽくなる♡」
「痩せるよ!」
といった、美容ナラティブに包まれた軽い商品 に変換される。
この変換そのものが、2020年代の大事件である。
■ ① オンライン診療:身体OSのチェックが消えた
コロナ禍で制度が緩和され、
スマホひとつで薬が届くようになった。
しかし、本来の医療が持つはずの
- 血栓リスクの確認
- 既往歴
- 自律神経の状態
- 血糖コントロール
- 体重変動
- 精神状態の評価
がほぼ行われない。
つまり、オンライン診療は
身体の総合評価を行わないまま薬だけを投下する構造装置 に変わった。
この構造は美容医療と極めて相性が良い。
■ ② 低用量ピルの「QOL・美容パッケージ化」
美容コンサルやSNSインフルエンサーが広めたのは、
「低用量ピル=女性のQOLを上げる素敵な薬」
というフレーズだ。
しかし、低用量ピルは
- 血栓症リスク
- 喫煙との相互作用
- BMIによる禁忌
- 片頭痛の有無
- 肝機能
- 年齢による可否
など、本来は厳密な医療判断を要する薬剤 である。
にもかかわらず、自費オンライン診療は
「美容皮膚科の延長で買える“女性の味方”」
として売り出した。
● その結果
薬の“医薬品性”が失われ、商品化だけが残った。
これは女性の身体OSにとって決定的な断絶であり、
血栓症リスクという核心が語られないまま
「肌が綺麗になる」「ニキビが減る」だけが強調された。
■ ③ マンジャロ:痩身薬としての内分泌撹乱
GLP-1/GIP製剤であるマンジャロは、
本来は重度の糖尿病治療薬である。
それがコロナ禍以降、
- オンラインで買える
- SNSで“痩せた成功体験”がバズる
- インフルエンサーが宣伝する
という構造の中で、
「努力不要で痩せられる魔法の薬」
として消費されるようになった。
しかし、実際の作用は
- 食欲消失
- 胃の運動低下
- 脱水
- 電解質異常
- 強い冷え
- めまい
- 栄養失調
- 失神
など、完全に内分泌撹乱であり、身体OSの緊急モード である。
それを、
「痩せた♡」
で上書きする文化は恐ろしく脆い。
■ ④ 個人輸入ホルモン:エストロゲン幻想の拡散
2020年代は、
自己ホルモン投与が“セルフケア”として誤解される時代 になった。
▼ 代表的な現象
- エストロゲンを過剰に飲む男性たち
- 血栓症で救急搬送されるケース
- エストロゲンゲルを「美容液」と誤解して顔に塗る女性たち
→ それはステロイドホルモンであり眼圧が上がる。緑内障に直結する危険薬である。
しかしSNSでは
「肌がつるつるになった」
「女性化が進んだ♡」
「フェムケアとして最高」
と語られる。
身体OSの視点は完全に消えている。
■ 現代は「ふわふわした危険性」に包まれている
4つの領域に共通するのは、
● 医療の核心部分が完全に不可視化され
● ナラティブ(語り)だけが残ったという構造
である。
このナラティブは、
- 美しくなりたい
- 痩せたい
- 自分を変えたい
- “よりよい自分”を演出したい
という心理と強く結びつく。
その結果、
内分泌を狂わせる行為が、セルフケアとして推奨される
という異常な事態が起きている。
■ ラッキー・ランタンタンとしての結語
(HPOの視点から)
内分泌は、
身体OSの中核 であり、
操作すれば必ず全身が揺れる。
本来なら慎重であるべき動作が、
オンライン文化とナラティブ文化の中で
“軽くて、かわいくて、便利なもの” として出回っている。
これは人々が悪いのではない。
● 文化装置が、身体を消してしまったのである。
コロナ禍で医療がオンラインに逃げたとき、
美容医療・痩身文化・ジェンダー界隈のホルモン誤用が
一本につながってしまった。
今私たちが見ているのは、
その副作用としての身体の悲鳴 である。

コメント